忍者ブログ
昔読んでいた「愛鳩の友」。その中で読んだ鳩の名前がEver Onward。 その名をブログの名前にした。 ブログの内容は『マラソン・炭鑛・炭坑昔ばなし・他』
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

炭坑昔ばなし (昭和47年1月)

                         松 本 光 雄

藤島の隠居と私のつきあいは、終戦後まもなく私が伊予の山奥からリュック一つ担いで田川の島廻炭砿に就職したときから始まる。

始めはおもしろ半分に聞いていた炭砿の昔ばなしを私が真剣にメモし始めたのは7・8年もたって九州炭鉱保安協会発行の「保安の友」編集委員を委託され、昔ばなしを書いたらと、相談を受けてからである。

私は作家ではない。一採鉱屋である。従って取材の機会にも乏しいし、勿論そんな経験もない。勢い藤島の隠居にすがらざるを得なくなって頻繁に、隠居の家に通ったものである。

私の書く炭坑昔ばなしは、広い意味の昔ばなしではない。藤島千太郎という一老人の思い出話である。だから今どきの人にはおおよそピントの合わない話も次々と出てくる。

なにしろ隠居は日清戦争(1894年)以前に生まれた人である。いまもって幽霊の存在もハッキリ認めるし、狐や狸が人を化かすことも信じきっている。そのためあるとき

は死霊にも出合うし、またあるときは狸に炭車を走らされたりもした。

 語っている本人は大いにまじめである。

 私はあえて隠居の話に逆らおうとは思わない。そしてそのまま素直にメモしてきた。なぜなら、70年このかた持ち続けているこの老人の美しい幻像を私のつまらぬ理屈で踏みにじるより、そのままそっとしてやりたかったからである。

 四国には炭鉱は少ない。しかし筑豊より古い歴史を持つ鉱山は多い。そしてどの鉱山にもそれなりの虹のような美しい昔ばなしを秘めているのではあるまいか。私はそれが知りたい。そんな話題を持つ古老に会って四国鉱山独特の昔ばなしを聞きたいと思う。そのような機会があったら何分のご援助を賜るようお願いして炭坑昔ばなしを書き始める。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
リンク
フリーエリア
最新コメント
最新記事
(12/13)
(11/06)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
モアイ
性別:
男性
趣味:
マラソン他
自己紹介:
昔サッカー、今ランニングが趣味
何にでも興味あり、しかし奥深くはない
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
お天気情報

Copyright © [ EVER ONWARD ] All rights reserved.
Special Template : CSS*TEMP
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]